4 ◯市長(田上富久君) おはようございます。
市民クラブ池田章子議員の質問にお答えします。
まず、2点目の(2)「黒い雨」
調査データ問題についてお答えします。
このたび
財団法人放射線影響研究所、いわゆる放影研が1950年から実施している「長崎・広島の
寿命調査」の中で黒い雨についての
質問項目があり、
寿命調査対象者約12万人のうち、約1万3,000人が黒い雨に遭ったと回答し、そのうち長崎が約800人であることが
新聞報道等により明らかになりました。
この
寿命調査は、疫学(集団及び症例対照)調査に基づいて、疫学調査といいますけれども、生涯にわたる健康影響を調査する
研究プログラムで、
原爆放射線が死因やがん発生に与える長期的な影響の調査を主な目的としています。
対象者は1950年の国勢調査で長崎、広島に住んでいたことが確認された人の中から選ばれた約9万4,000人の被爆者と約2万7,000人の非被爆者から成っており、対象者の生涯にわたる追跡調査を3年に1回行い、がんの発生率、がんによる死亡率及びがん以外の疾患のリスクと放射線量との関連を調べているものです。報告書は1961年の第1報に始まり、2003年までに第13報が出されております。
今回、報道されています黒い雨について放影研にお聞きしたところ、黒い雨の項目は
寿命調査の附帯的な質問であり、正確な人数や内容等についてはまだ確認できていない状況であると説明を受けております。しかしながら、正確な人数等については、できるだけ早い時期に確認して公表したいと伺っております。放影研としては、黒い雨の
質問項目が本来の調査目的ではないため、黒い雨の
質問項目から何らかの科学的な解析ができるのかをこれから検討すると聞いております。
長崎市は、被爆地域の拡大是正につきまして、被爆時の状況及び
地理的条件から、原爆による放射能の影響は爆心地から同心円状の半径約12キロメートルの区域にあると考え、これまで長崎県及び関係町などと連携を図りながら、被爆地域の拡大是正を国に要望してまいりました。その過程の中では原爆投下当時の状況を示すものとして、黒い雨に関する報告や証言も含まれております。
今回判明しました黒い雨に関する
調査データにつきましては、その詳細は現在のところ明らかではありませんが、長崎市としましては、放影研に対し、早急に解析に取り組んでいただくよう働きかけていきたいと考えております。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
5
◯理財部長(井川啓二君)
質問項目の1項目め、
公契約条例制定検討の進捗状況についてお答えを申し上げます。
公契約条例につきましては、
公共事業等、自治体の発生する事業に従事する労働者の賃金について受注業者に対し、一定額以上の賃金の
支払い義務を課する条例となっておりまして、こうした条例を制定、施行することによって、
公共事業等に従事する労働者の賃金を一定引き上げる効果も期待できるものと思われます。
現在、こうした条例は千葉県野田市、神奈川県の川崎市において施行されており、東京都国分寺市、多摩市、神奈川県相模原市及び札幌市におきましても、具体的な条例化の検討がなされていることも承知をいたしております。
しかしながら、
最低賃金が
全国最低レベルの長崎県下におきまして、
最低賃金を実質的に引き上げようとする
公契約条例の制定をした場合、
中小事業者の経営を圧迫し、かえって雇用に悪影響を及ぼしかねず、また、経営体力の弱い
市内中小事業者が応札、受注しにくくなり、
地元事業者の育成にも支障を来すなど、
市内中小事業者、また、そこで働く労働者に悪影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。
実際、長崎市におきまして、去る9月に
市内建設業者、業界団体を対象に実施いたしましたアンケート結果におきましては、大半の業者、団体が、
公契約条例について「知らない」というような回答を行っておりまして、「知っている」業者、団体におきましても、
公契約条例への賛成意見は少数にとどまっており、建設業者、業界団体の理解が得られているとは言いがたい実態が浮き彫りにもなったところでございます。また、
公契約条例を制定した場合の工事や
業務委託予算の増額についても、厳しい財政状況にある長崎市にとりましては慎重な検討を要する課題であります。
以上のことなどを総合的に考慮した結果、少なくとも現状では長崎市において
公契約条例を制定することにつきましては、慎重にならざるを得ないと考えております。
ただし、受注業者が
労働基準法、
最低賃金法等の労働法規を遵守すべきことは当然でありますことから、
賃金不払いや
最低賃金を下回ることがないよう、一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
6 ◯教育長(馬場豊子君) ご質問の3点目、
特別支援教育就学者の
通学支援についてお答えいたします。
長崎市立の小中学校の
特別支援学級へ就学する児童生徒に対しましては、国の支援制度に基づき、通学に要する交通費を補助しております。具体的には最も経済的な通常の経路と方法によって通学する場合の交通費の実費分を支給しており、平成22年度におきましては、59名に補助を行っております。そのうち
付き添いが必要と認められた児童生徒につきましては、長崎市の単独補助といたしまして、付添人の交通費についても実費の2分の1を支給しており、平成22年度は12人に補助を行っているところでございます。
また、国立の
特別支援学校及び
特別支援学級に就学する児童等に対しましては、国が補助を行い、その他の
特別支援学校に就学する児童等に対しましては、都道府県が補助を行っているところでございます。
一方、
福祉行政におきましては、長崎市では
障害者自立支援法による
福祉サービスとして、屋外での移動が困難な障害者について、
付き添い介助の費用を補助する「
移動支援事業」がございますが、通学など通年、かつ長期にわたる外出は対象となっておりません。ただし、保護者の入院や出産など特別な事情がある場合には、その期間を限定して
移動支援事業を利用することができることになっております。
特別支援教育就学者の通学に関しましては、このように一定の支援を行っておりますが、
特別支援学校や
特別支援学級ではなく、通常の学級にも特別な支援を要する児童生徒が在籍しております。
交通費の補助に関しましては、現在は通常の学級に在籍する児童生徒は補助の対象となっておりませんが、その中には障害の程度、状況などにより、毎日通学に
付き添いが必要なケースもあるものと認識しております。
そこで、子どもの状況に応じた
通学支援となりますよう、このようなケースも
通学費補助の対象範囲に含めることができないか、現在検討を行っているところでございます。
以上でございます。
7 ◯32番(
池田章子君) 一通りのご回答ありがとうございます。順不同になりますけれども、再質問をさせていただきます。
まず、
特別支援教育就学者の
通学支援についてですけれども、今、教育長から普通学級に通う
特別支援教育就学者の
通学費補助についても何とかしていきたいというお答えをいただきまして、それは一歩前進ということで大変うれしく思います。
ただ、私がやはり今回の質問で問題にしたかったのは、もちろん
通学奨励費のことももちろんなんですが、それで随分助かるとおっしゃる保護者の方たちもいらっしゃるわけですけれども、日々の通学のときに、すべてが保護者の負担になっているということを問題に何よりしたかったわけです。
まず、子どもと保護者の状況なんですけれども、自力で登校できない
子どもたちは保護者、特に母親の
付き添いが中心です。
子どもたちは日々成長していっています。その中でお母さんの力だけではとてもその
付き添い、介助が厳しいという状況もあります。その保護者の方々は、やはり
子どもたちを抱えたりとかする中で腰痛になられたり、それから、もちろん病気にもなられますし、そういうときでさえも、その病気を押しながら
子どもたちを通学介助しなければならない状況にあります。しかも、長崎市は斜面地に住宅街があります。車が横づけできないようなところであっても、その保護者が通学のための道具と、それから、場合によっては医療機器を抱えながら、斜面地の移動を悪天候の中でもしなければ
子どもたちの通学は保障できないという、そういう状況にあるわけです。
県立の
長崎特別支援学校を例に挙げますと、病弱の子たちがたくさんいるんですけれども、医療的なケアというのも必要です。その子たちは、
お母さんたちがほとんど自家用車で送り迎えをしているわけですけれども、自家用車に乗るまでの、その間の移動と、そして、自家用車に乗せて学校に行くまでの間も発作が起きたりすることがあるそうです。ですから、途中で吸入をしたり、
医療的ケアをしながら運転をしながら学校まで連れていかなければいけないと。こういう今の
特別支援教育を受けている
子どもたちの通学状況は、福祉の分野で何とかケアしていくべきではないのかというふうに思っているわけです。
教育長のご説明にもありましたけれども、
移動支援がありますと。ところが、
移動支援は通学に使えないんですよね。私はそれがものすごく疑問なんです。余暇であるとか、社会生活上必要不可欠な外出であるとか、
余暇活動等にはその
移動支援は使えるのに、日々の
子どもたちの通学にはその
移動支援が使えない。そして、
移送支援も有料なんですよね。この
子どもたちの就学の権利を保障するためには、この
移動支援を使えるようにするべきではないのかというふうに思うんですが、お答えをお願いします。
8
◯福祉部長(
前川栄一郎君) 再質問にお答えをいたします。
障害者自立支援法の規定による長崎市の
地域生活支援事業の
移動支援事業につきましては、
先ほど教育長からも答弁ありましたように、通学、通園、通所等、通年かつ長期にわたる外出は対象といたしておりません。全国の他の自治体、中核市を含めまして、ほとんどの自治体におきましても長崎市と同様の状況でございます。
基本的な考え方といたしましては、医師の指導に基づく運動や官公庁への公的手続等必要不可欠な外出、及び
余暇活動等社会参加のための外出などが
福祉サービスとしての対象でございまして、通学、通園等は学校、施設、保護者のほうで対応いただくことと考えております。
ただし、保護者の方が突然の疾病などでどうしても対応ができない場合は、期限を切りまして
サービスの対象とさせていただいておりますので、どうぞご理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
9 ◯32番(
池田章子君) ですから、その通年の日々の
移動支援が必要な人たちがいるわけです。それになぜ使えないのかというのが不思議なわけですよ。
それで、他都市のことをおっしゃいますが、長崎は斜面都市なんですよね。本当に車が横づけできない家はたくさんあります。そして、この長崎の地形の問題で、はなから車を持たない、免許を持たない方たちもたくさんいらっしゃいます。その
就学支援を受けている
子どもたちの
お母さんたちの場合は、ずっと免許を取りに行くチャンスすらなかったという人たちもいるんです。そういう状況の中で、なぜ
子どもたちの
通学支援ができないのかと。しかも、長崎市の第四次総合計画の目指す都市像、希望あふれる人間都市と言っているじゃないですか。希望あふれる人間都市、その中に子どもから高齢者まで、だれもが
ライフステージに応じて豊かで生き生きと暮らせる都市、それを第四次総合計画にうたっているわけです。基本施策のF3、障害者が暮らしやすい
まちづくりを進めます。その
特別支援教育を受けている
子どもたちの、その
子どもたちの生活を支えていく
福祉サービスが何か考えていただかなければいけないんじゃないですか。
10
◯福祉部長(
前川栄一郎君) 再質問にお答えをいたします。
繰り返しになるかと思いますけれども、通学につきましては基本的には私どもの
サービスの対象とは考えておりません。大変恐縮でございますけれども、通園、通学等につきましては、学校施設、保護者の皆さんで対応いただきたいというふうに考えております。
以上でございます。
11 ◯32番(
池田章子君) 保護者のほうでやってくださいということなんですが、私、そもそもそのことも疑問なんですね。通学の
付き添いは保護者がしなければいけませんか。自力で通学困難な
子どもたちの送迎は保護者がするのが当たり前になり過ぎていないですかね。保護者の方々は、特に
お母さんたちが多いんですが、社会的な参画、外で働くこともその
子どもたちの通学の
付き添いのために就職の機会も失っているんですよ。
経済的事情で仕事に出たいとか、それから、子どもが学校に上がったら社会参画したいとか、いろんな気持ちをお持ちなのに、それも実現していないんですよね。障害を持っている
子どもたちの、
特別支援教育を受けている
子どもたちの通学でも何でもすべてお世話はもう保護者がまず第一義だという、それは私はちょっと考えていかなければ、社会で、地域で
子どもたちを支えていく、障害者を支えていくというのが長崎市の基本姿勢じゃないんですか。市長、その辺はどう思われますか。
12 ◯市長(田上富久君)
池田章子議員の再質問にお答えいたします。
先ほど総合計画に掲げています人間都市という言葉についての言及もございました。今、さまざまな社会の状況がずっと変わっていく中で、サポートをする
仕組みそのものについても、これは年金なども含めてですけれども、新しい
仕組みづくりが動いている、そういう時期の中にあります。その中でこれまでの制度だけではなくて、今の時代にふさわしい新しい仕組みがないかということは常々、それは長崎市政の中でも取り組んでいるというふうに考えております。
また、その中で福祉施策についても一歩一歩ですけれども、これは財源が必要になる部分もありますので、そういったものをしっかりつくりながら、あるいは制度などについても工夫をしながら一歩一歩進めてきているという状況の中で、これが100点になるという状況ではないかもしれませんけれども、一歩一歩前進してきていることは間違いないというふうに考えております。その中でどういったものをまず取り組むべきかということについても1つずつ総合的な見方、観点から検討しながら、一歩ずつ、一歩ずつという形で進めてきておりますけれども、今回、池田議員からご指摘があったような件につきましても、全体の
子どもたち、そういった支援が必要な
子どもたち、あるいは高齢者の皆さんなども含めた全体の障害者の皆さん含めた全体の中で、どういったことができるのか、その中でどこから取り組むべきなのかといったことを考える中で、今後検討していきたいというふうに思います。
以上です。
13 ◯32番(
池田章子君) どういったことができるのかというのを今から考えていってくださるということは、前向きに考えていただきたいんですけれども、まず、
移送支援というのを
福祉行政として進めるべき課題だというのはまず前提にあります。ただ、それが財源的に厳しいと、一遍にやっていくのは厳しいというのは私もわかりますが、せめて
移送サービスというのが今あるんですよね。1回500円、30分。それを無料にするとかということはできないんですか。それを使いやすくするということはできないんですか。
14
◯福祉部長(
前川栄一郎君) 再質問にお答えをいたします。
その単価につきましては、現時点ではそれで
サービスを提供させていただいているところでございますので、今後、計画等の見直しに合わせまして、その点についても皆さんのご意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
15 ◯32番(
池田章子君) じゃ、せめて
医療的ケアを必要とする
子どもたちの送迎を福祉の分野でやっていくということはできないんですか。要するに、いつ発作を起こすかわからない子どもを乗せて、車を途中でとめながら吸入をしたりとかしながら、
子どもたちを学校に通わせている保護者がいるわけですよ。その
移送サービスを、例えば、タクシーの使用を認めるということはできないんですか。
16
◯福祉部長(
前川栄一郎君) 再質問にお答えをさせていただきます。
ただいまのご提案でございますけれども、現状、そこのところまでの検討はいたしておりません。今後、その点も含めて研究をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
17 ◯32番(
池田章子君) では、これからの検討ということなんですけど、もう1つ、長崎市がリードする送迎ボランティアの組織化支援というのはできませんか。透析患者の送迎ボランティアというのはあっているそうですよね。それ以外の送迎ボランティアとかというのはないそうですけれども、地域でその
子どもたちの送迎を支えるボランティアを長崎市がリードする、社会福祉協議会でもいいんですが、そこに組織してもらうと。そういうふうなボランティアを、日ごろからその障害を持っている
子どもたちの送迎にかかわっているボランティアをつくる、組織をつくる、地域をつくるということは、今、問題になっている、いざというときの災害のときにその人たちがその障害を持っている人たちの支えになってくれる可能性がありますよ。いつもかかわりがなければ、なかなか防災のときだけ、災害のときだけ動くというのは難しいです。でも、日ごろから送迎にかかわって、いつもその地域なり、そのチームなりでその送迎を支えていれば、そしたら、何かがあったときにもさっとその人たちが動いてくれる地域づくりができるんじゃないですか。
障害を持っているというか、障害を持っている子どもの学級というのを私も担任したことがありますけれども、そういう学級って、その子を中心にまとまるんですね。それと同じように、その障害を持っている
子どもたちを送迎
サービスというのを通じて地域のまとまりをつくっていく、そのシステムを市が援助していく、支援していくということは考えられませんか。
18 ◯市民局長(桑水流和弘君) 池田議員の再質問にお答えをいたします。
送迎関係の福祉関係でボランティアのお話出ました。腎患者の透析をされている方が市内ではそういった送迎のボランティアをされておられます。NPOでございます。ただ、そのやり方というのは、あくまでもそういったNPOの方々が会員になって、福祉有償運送ということで陸運局のそういった許可を取った上で、会員の方から、低廉ではありますが、そういった運賃を徴収しながらNPO自体が努力してやっておられるというような形態でございまして、このNPO法人に対しまして、送迎全般、それから、研修会、交流会、あるいは機関紙の発行のために市のほうから補助金がございます。
以上でございます。
19 ◯32番(
池田章子君) 先ほど市長がどういうことができるのかを考えていきたいということですから、長崎市としてそういうふうな地域で
特別支援学級に通う
子どもたちを支えるような仕組みをつくっていくことはできないかということなんですね。いろいろとハードルはあると思います。私も社協に尋ねたときにはいろいろ問題があるというふうなことは聞きましたので。ただ、それを何かやっていかないと、この障害を持っている
子どもたちの通学というのはとっても本当困難なんですよ。
子どもたちがもうこれ以上大きくなりたくないと言うんですよ。大きくなったら、お母さんに負担がかかるからって。お母さんもきつい、腰が痛いって。でも、きついと言ったら、子どもが気の毒がるからって。だから、そういうふうな思いで通学している
子どもたちをほったらかしにしないでほしい。
人間都市ということを将来像に据えるならば、やはりこの一番大きな、一番大きなとは言いませんね、とっても大切な問題、大きな問題だと私思っています。全部保護者任せにしているというのは非常に問題だと思いますので、解決に向けて一歩でも二歩でも前進できるような方法をぜひ考えていただきたいということを言って、次の質問に移りたいと思います。
昨日、平和公園で発見された防空ごうの保存については、市長から一定の回答をいただきました。エスカレーターの位置を50センチずらして、2つの入り口だけを残す一部保存という方向性でした。来年の祈念式典に間に合わせるために、もうこの決意を変えることはないということで記者にも語っておられました。しかし、やはり全部保存ということをもう一度考えていただきたいというふうに私は思っています。
まず、計画を変更する、当初の計画よりエレベーターの位置を50センチずらして計画を変更しますと。そういう変更があり得るなら、もう数メートルずらしてほしいんですよ。もう数メートルずらせば、3つ全部保存できるわけですよ。この防空ごうの価値については、市長自身が言われていました。価値があるものだと、保存すべきものだと。それを考えたときに、50センチずらすのであれば、もうちょっとずらして、この貴重な防空ごうを保存していくということは考えられませんか。
20 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) 池田議員のご質問にお答えいたします。
昨日、市長のほうから答弁を申し上げましたが、今回発見されました防空ごうにつきましては、当時の世相を反映するものとしての価値は十分認めております。また、防空ごうそのものをご存じでない世代の方々に対して非常にいい場所に出てきたということで、そういう方々に対して平和学習として見せていくという意味では、大変すばらしい遺構であるというふうに存じております。
ただ、平和公園周辺にはたくさんの防空ごうがございます。そういう防空ごうをすべて保存していくということは非常にこれは難しいというふうに私どもは判断をしております。それで、なおかつエスカレーターの重要性、防空ごうの重要性、そういった点を判断いたしまして、昨日、答弁いたしました4個のうち1個はエスカレーターの下になってしまうということでございます。
以上でございます。
21 ◯32番(
池田章子君) まず、4個のうち1個をつぶすと言われますけれども、出てきた大きな3つの入り口のある防空ごう、あれが1つの防空ごうなんですよね。あれが1つの防空ごうですから、3つの入り口のうち1つをつぶして2つ残して、こっちとくっつけて3つ残すという問題じゃないわけです。防空ごうは3つで1つなんですよ。それはもう部長自身がよくご存じのはずです。防空ごうというのはそういうもんだというのはよくご存じのはずですよ。そういう平和公園の周辺にあるどれでも残せと言っているんじゃないんです。資料館からおりてきて、爆心地公園を見て、そして、平和公園に行くという、その動線上にあるあの階段の横にある、あの3つで1つの防空ごうを残す価値が一番高いじゃないですかということを言っているわけです。
きのうの市長の答弁でも、残すから50センチずらすんだと、意義があるから50センチずらすんだと言われましたので、私は意義は一定認められたというふうに思っているわけです。ただ、3つで1つのやつを、2つ入り口を残すからって、つぶすことには変わりないじゃないですか。3つで1つなんですから。そこを考えると、ぜひこれは全面保存に向けての工夫をしてほしいと思うんですよ。昨日示された案はベターですけど、ベストじゃないと思います。
それから、もう1つ、ちょっと別の角度から私は質問したいんですけれども、景観条例というのが長崎市にはありますよね。長崎市の景観条例で、平和公園地区は景観地区の1つです。その景観条例の7条に、市長その他の市の機関は、道路、公園、その他の公共施設の整備、建築物等の建設等を行う場合には、景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならないと。この景観条例のどういう役割をこの平和公園地区は持っているかというと、点在している被爆遺構や平和公園は平和のシンボルであると。それから、平和を発信する顔となる、被爆の実態を後世に伝える。それから、市民共通の貴重な資産として次世代に残せるようにするというのが、この景観条例ですよね。そう考えると、あの3つで1つの被爆当時の長崎の様子を物語る。原爆は、ある日突然降って落ちてきたわけじゃないわけです。戦争があって、そして、戦中の戦時態勢がどういうものかというのがものすごくよくわかるあの防空ごうは、その原爆の前も後もよく物語っている防空ごうじゃないですか。それをなぜ残さないのか。もうちょっと工夫をして、何か解決できる手だてがないのかをもう少し時間をかけて検討していただけないですか。
22 ◯市長(田上富久君) 池田議員の再質問にお答えいたします。
昨日、久米議員のご質問にお答えする形でエスカレーターの設置、50センチ階段側にずらして設置するという方針についてご説明を申し上げました。その際にも本壇のほうでご説明申し上げましたが、あの防空ごうそのものにつきましては、被爆時の熱線とか、火災の痕跡というのは確認できないんですよ。それで、前のほうについてはもう既に相当削り取られている状態でありまして、その中で、ただ、昨日申し上げましたけれども、防空ごうについてはやはり戦争の記憶を伝えるものであり、あるいは当時の社会情勢を伝えるものとして、しかも、あの場所というのが落下中心地区と平和公園地区を結ぶ、本当に人が集まりやすい場所にあって、しかも、広場を設置すると。そういった状況の中で戦時の記憶を伝える平和教育の素材としては非常に価値があるというふうに考えております。それを伝えるために、どこまで残せるかという観点で考えたときに、今回の50センチずらす案というのが最もふさわしいといいますか、さまざまな安全性なども両立できるという観点で今回選択をさせていただきました。
この安全性というのも非常に重要な課題でありまして、特に上のほうから来るときは、泉からおりるだけではなくて、その両脇の道もありますので、そちらから一気におりてくることになります。また、現状でもたくさんの
子どもたちが集まったときには、あの階段は結構いっぱいになる状況があるということも案内人の皆さんからもお聞きをしております。そういった安全性、これも絶対の条件ですので、そういったことを勘案するときに、あの階段を残しながら、50センチ横にエスカレーターを設置することで高齢者の皆さんも、障害者の皆さんも上りやすくするという、しかも、平和教育にも、1つは入り口がつぶれますけれども、十分工夫をすることで活用できるということで、今回の案を選択させていただいたということですので、ご理解をお願いしたいと思います。
23 ◯32番(
池田章子君) 10月にこの防空ごうが発見されました。今、12月の初めですけれども、本当に市民の意見を十分に聞くことができたのかと。
それから、安全性について言われますが、実際、今の階段の状況でも十分じゃないと言われるのであれば、こう集まってきた動線をどういうふうに平和公園の外に出していくかという、その平和公園の設計自体ももうちょっと考えたほうがいいんじゃないですか。今のままでも危ないというふうなことをおっしゃっているわけですから、それはたくさんの人が集まるときの安全性というのはまた別の問題として考えていくべきですよ。ですから、エスカレーターを設置するという被爆者の方々の利便性を考える、年を召されてきた被爆者のためにぜひエスカレーターを設置したいと。その価値と、それから、貴重な、そして、立地条件から考えても絶好の位置にあるこの防空ごうの保存と、その価値を併存させるように、そして、安全性については別の対策というのがとれるはずですよ。工夫をしていただきたいと私は思います。
それから、防空ごうの保存については全面保存をもちろん求めたいわけですけれども、その保存の仕方ですけれども、余り当時の景観を失うような防空ごうの保存の仕方というのはぜひやめていただきたいと。昔の防空ごうの様子がよくわかるような状態での保存の方法というのは今あるはずですから、その辺も検討していただいて、ぜひこの貴重なものを、景観条例にもあるように、市がリーダーシップをとって景観を守っていく、後世に伝えるべき景観を守っていくという役割を果たしていただけるように求めておきたいと思います。
次に、「黒い雨」のことについて再質問いたします。
市長は、早急に解析をするように求めたいというふうなことでしたので、ぜひそれは強く要望していただきたいというふうに思っています。
この黒い雨のデータの価値は、黒い雨の降雨地域が、今まで西山地区、それから、間ノ瀬というふうに言われたわけですが、それ以外にもたくさん広がってきているということがほぼわかっています。既にあるデータからわかっています。それから、黒い雨と急性障害、さらに晩発性の放射線障害の因果関係がわかる、そういうデータですよね。1万3,000件のデータです。長崎の部分は800件かもしれませんけど、放射線と晩発性の障害等が結びつく1万3,000件の膨大なデータだと思います。
このデータの解析というのは、本当長崎市が再三言われてきましたけど、新たな科学的な知見につながる可能性があるわけです。ですから、ぜひ急いでやるということを放影研に求めてほしいと思います。その解析が終わるのをゆっくり待っている時間は被爆者の人たちにはないわけです。
長崎市は、このデータを解析して情報公開をしろという立場にあると私は思っています。もともとこのデータを集めたのは行政の長崎市の全面的な協力がなければ、被爆者のこれだけのデータは集められなかったわけですから。行政が随分力をかしているはずです。ですから、そのデータについては長崎市が急いで解析をして、いち早く情報公開をしなさいということを強く放影研に求めるべきだと思います。
その点について急いでやってくれと、そして、情報公開をしてくれというところまでちゃんと求めてもらえますか。
24 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) 池田議員の再質問にお答えいたします。
先ほど市長も答弁いたしましたが、放影研としましては、黒い雨の
質問項目が本来の調査目的ではない。といいますのが、私も
質問項目を見せていただきましたけれども、黒い雨を見た、イエスと、ノーと、それから、アンノウンという、この3項目しかないというペーパーでございます。1枚目がですね。それで、もう1枚のほうが、記述式で黒い雨について少し書かれているペーパーがあるというふうにお聞きしております。
ただ、私どもとしましても、非常に関心のあるデータでございますので、今、議員ご指摘のように、早急にこれが本当に科学的な解析につながっていくものかどうかというところも含めまして、放影研として検討したいというご返事をいただいておりますので、早く私どももそのご返事がいただけるように放影研に働きかけていきたいと、そのように考えております。
以上でございます。
25 ◯32番(
池田章子君) ぜひお願いしたいと思います。放影研は記者会見では、現在、解析計画はないとか、解析をしないとは言っていないけれども、急いでやるとは言っていないとか、あんまり乗り気じゃないみたいなんですよ。ですから、長崎市と広島市がやっぱり放影研に対しては一定の力を持っているわけですから、長崎市から早く解析しろと、そして、情報公開しろと求めるのは、ものすごく大きな力になると思いますので、絶対それはやっていただきたいというふうに思います。
そして、今、部長が言われたんですけれども、調査票ですけれども私も用意してきました。〔パネル表示〕これがもとになった調査票です。こういう被爆者の方たち12万人に配って記入していただいた分ですね。ここもちょっと字がちっちゃくて見えないと思いますけど、こういうのともう1枚こういうのですよね。この調査票には、名前や生年月日はもちろん、どこで被爆したかとずっと書かれているわけです。ここの部分ですよ。ここの部分に、あなたは原爆直後に雨に遭いましたか、イエス、ノー、覚えていない、プラスあとここに場所と書いてあります。たくさんの数十項目についてこういうふうに調べてきたにもかかわらず、この部分です。これはすべて12万人についてずっと蓄積をして、解析が進んでいるわけですけど、この部分だけ入力すらしていなかったというんですよね。私、おかしいなと思うんです。重要な項目じゃない。確かに欄は小さいですけど、決してこの位置にあることを考えれば、重要な
質問項目ではなかったと私は言えないと思います。黒い雨について見ましたか、どこで遭いましたか、遭いませんか、この部分だけをデータ入力をずっとしないで無視してきたと私は思うんですが、市長どう思われますか、その件については。
26 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) 池田議員の再質問にお答えいたします。
放影研の方も数日前に記者会見を行われておりますけれども、決して無視をしていたんではないと。ただ、本来の調査項目であります、がんでありますとか、生涯の中の疾病と放射線の起因性に関する調査項目の中で、黒い雨に遭った、遭わないというところと因果関係的なものを整理していなかったというふうに私どもは伺っております。
ただ、現時点では黒い雨の問題も、これ私どもとしましては非常に貴重なデータだというふうに思っておりますので、早急にそういう解析を行っていただきたいというふうなことを申し上げていきたいと思っております。
以上でございます。
27 ◯32番(
池田章子君) 私がお尋ねしているのは、放影研の言っていることをそのまま伝えてくださいというんじゃなくて、おかしいと思いませんか、ここの部分だけ入力すらもされていなくて、解析もしない。黒い雨の問題というのは低線量被爆、残留被爆であるとか、
内部被爆の問題ですよ。それが全然取り扱われてこなかった。これがLSSにつながり、いろんな世界的な被爆の基準になっているわけじゃないですか。疫学的な。それをもって今長崎市だって
内部被爆はないとおっしゃっているわけでしょう。そんな
内部被爆の重要な情報を、ここを無視してきたデータを信用しますかっていうことを私は市長に聞いているわけです。市長、答えてください。
28 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) おかしいのではないかというご質問でございますけれども、現時点で私どもが、例えば、いろんなアンケートを行いましたら、その項目についての集計的な数字でありますとか、そういったものは必ず現代はコンピューターもございますので、そういうものを入力して、割合はこういう割合であったとか、そういったものは必ず入れるであろうと、それは私どももそういう認識でおりますけれども。ただ、解析となりますと、非常に専門的な状況が出てまいりますので、それがどういうふうな関係があって出されていないのかというのは、私ども現時点ではつかんでおりませんので、いかんともコメントしがたい状況でございますけれども、ただ、放影研に対しましては、早急に数値でありますとか、解析ができる方向で検討していただきたいということを働きかけていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
29 ◯32番(
池田章子君) 私は解析をしていない云々って言っていないんですよ。データの入力すらしていないと、黒い雨の部分は。ずっと放置していた60年間、と言っているわけですよ。そこがおかしいでしょうと。
それから、もう1つの新聞記事ですね。
内部被爆の健康調査を20年前に打ち切った。私は
内部被爆の問題は今回の原発事故で大きくクローズアップされましたけれども、私はこの
内部被爆の問題、黒い雨の問題というのは被爆者の方たちの健康にものすごく影響があると私思うんですよ。なのに、解析どころか、データがあったのに、それを無視し続けてきたという、それは非常におかしいことだと。しかも、それにのっとって長崎市が被爆体験者を被爆者として認めてこなかったということもあるわけです。ですから、私はこの黒い雨データをもちろん解析を急いでもらうことももちろんですけれども、それをいち早く長崎市のほうにも情報を入手していただいて、まだ被爆者として認められていない方たちもいっぱいいるわけですよ。そういう方たちを一刻も早く被爆者手帳の交付ができるようにしていただきたいというふうに思っています。おかしいって、市長も言うべきだと私は思います。
次に、
公契約条例についての再質問をさせていただきます。
理財部長から、長崎市は当面、現状において
公契約条例を制定するつもりはないというふうにおっしゃったわけです。その理由として、中小企業の経営の悪化につながるというふうなおっしゃり方をしたわけですけれども、まず、この点について私思うんですけど、中小企業の経営を圧迫してきたのは長崎市にも原因あるんじゃないですか。低価格競争をずっと進めてきたのは長崎市にも責任あるでしょう。その長崎市が、いや、働く人たちの労働条件や賃金を保障する、そういう
公契約条例を制定したら、中小企業の事業者を圧迫するというのは、ちょっとどの口が言ったっていうふうな思いがありますけど、その点どういうふうにお考えですか。
30
◯理財部長(井川啓二君) 再質問にお答えいたします。
中小企業を圧迫してきたという部分で長崎市がというお話でございますが、そういう制度、長崎市の入札契約制度の中ではそういう認識は持っておりません。今回、条例制定ということでお話が従来からあっておりましたけれども、現状は部内でもいろいろと検討を重ねてきた経緯がございます。そういった中で、やはり条例制定をしている都市と長崎市の実情というのも1つの検討の中身に入ってきたのは当然でございます。そういった中で、野田市と川崎市の事例が挙がっておりますが、特に川崎市の場合は
最低賃金と生活保護基準の違い、これ逆転現象ということで、生活保護基準が高いというふうな状況が現実に発生してきております。そういった中で特に業務委託関係については、この単価の見直しという部分で手をつけられているというようなことを確認いたしております。
また、野田市におきましても、特に野田市、千葉県でございますが、東京都、神奈川県、この首都圏における賃金単価の構成、生活保護基準という部分の比較をした場合に、どうしても逆転というような部分はクリアしなければならないというようなことも根底にはあっております。
そういったことで、我々も一定検討する中で、どうしても従来の条例制定の制度趣旨の部分と長崎市の今の現状と、特に入札契約制度の中でも異なる点がございます。最低制限価格制度を設けていないとか、そういう条件も実態としてございますので、そういった両面から今回は一定結論を出したということをご理解いただきたいというふうに思います。
以上でございます。
31 ◯32番(
池田章子君) 工事については公共工事設計労務単価があると。一方、業務委託については賃金の基準をどこに持ってくるか。それはどの市町村も苦慮しているんですね。いろいろ試行錯誤をしているところです。うまくいっていないから、野田市もちょっと改正を加えながら、それでも、その
公契約条例を続けていこうとしているわけです。その基準の設け方が難しいからといって、
公契約条例を制定しないという理由にはならないでしょう。いろいろ試行錯誤はあると思いますけれども、この
公契約条例というのは、今、これだけ自治体がアウトソーシングしているわけですよ。その
公共サービスを請け負う人たちがたくさんいる中で、その人たちに対するルールづくりもしないというのはやはりおかしいんじゃないかと。
公共サービス基本法にもあるんですよ。法律で定められているんです、自治体の責任として。安全かつ良質な
公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするために、
公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保、その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるというふうに決められているわけですから。
財政負担云々とまず理財部長おっしゃいましたけど、財政負担は野田市で700万円だったんですよね。国分寺市で1,000万円というふうに見積もられています。700万円、1,000万円というこの金額が適正な労働賃金を保障する金額として高いですかね。
それから、アメリカでこういう
公契約条例、生活できる賃金を保障するという法律を導入したところは、逆に福祉予算が減少したと言われているんですよ。今、長崎市が発注する工事であったり、業務委託であったり、指定管理者制度であったり、全然生活できる賃金が保障されていないじゃないですか。もうちょっと生活できるような賃金を保障するための
公契約条例をつくりましょうというのが再三言ってきたことなんです。
公契約条例つくらないと言われるなら、じゃ、それにかわり、一体何をするのかを教えてください。
32
◯理財部長(井川啓二君) 先ほど冒頭お話がございましたが、現行の入札制度の中でやはり、もちろん野田市をどうというわけじゃないんですが、長崎市の入札契約制度と野田市の入札契約制度の根本的な異なる点というのはございます。先ほど最低制限価格のお話を申し上げましたが、見積もりをとるにしても、一定長崎市とは違う契約制度をとっております。まず、そういう基本的な部分でやはり野田市の今の制度の部分とは異なる点というのがまず1点ございます。
そうした中で、これにかわるものといいますと、当然、野田市もそうなんですが、長崎市としては一定、毎年、契約制度につきましては見直しを行っております。そういった中でこの労働賃金の問題につきましても、当然、契約時点におきまして受注業者に対しては適正な価格を図るというようなことを常日ごろから申しております。そういった中での今度の条例というお話でございますが、そういったものも一定徹底しながら対応できるというふうに考えておりますので、この労働環境の確保という部分につきましては、いろいろなご意見もございます。そういったものを踏まえまして、来年度以降も引き続き、さらなる充実に向けて対応していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
33 ◯32番(
池田章子君) 今まで長崎市は最低制限価格をずっと引き上げてきた、引き上げてきたとおっしゃいますけど、設計労務単価ずっと下がり続けていますよね。それ事実じゃないですか。その事実に目を向けてください。
これといった
公契約条例にかわるものというのは用意しないで、いや、野田市とはちょっと事情が違うから、野田市のあそこが悪いから
公契約条例は制定しませんというのは理由にならないので、もっと真剣に長崎の雇用のこと、労働者のことを考えていただきたいと意見を申して終わります。
34 ◯議長(中村照夫君) 次は、33番麻生 隆議員。
〔麻生 隆君登壇〕
35 ◯33番(麻生 隆君) 公明党の麻生 隆でございます。
質問通告に従い、4項目にわたり質問いたしますので、市長並びに理事者の皆様の簡潔で明快な答弁をお願いいたします。
森林・林業施策についてお尋ねいたします。
国土の7割を森林が占める日本は、世界有数の森林大国です。しかし、国産材の低迷で林業が衰退し、森の荒廃が進み、森林資源の活用が生かされていないのが現状であります。本年2011年は国際森林年の年です。改めて自然の恩恵を再確認し、森林資源の活用と今後の森林・林業行政の取り組みを見直すときではないでしょうか。
林野庁は、「森のチカラで、日本を元気に。」とのスローガンを打ち出しております。農林水産省は平成21年12月、森林・林業再生プランを公表しました。本年7月には、東日本大震災を受け、実施項目を具体的に実行するために森林・林業基本計画を発表しております。再生プランでは、1つ目は森林の有する多面的機能の持続的発揮、2つ目は林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生、3つ目は木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献です。この3つの基本理念のもと、10年後の木材自給率50%以上を目指すとし、森林・林業再生プランは平成22年6月の閣議で新成長戦略の21項目の1つに数えられ、国家戦略のプロジェクトの1つに位置づけられております。
一方、長崎市の森林・林業の現状は、農業や水産業に比較してなかなか産業としての位置づけが弱く、山里も他県に比較して豊かではありません。生産性の低さや間伐材の搬出用作業路や路網の整備不足など、また販売価格の低迷で採算性がとれず、森林への新たな投資がなされていないのが現状であります。
このような中、本年度中には国の新たな森林整備基本計画に基づき、長崎市の森林整備計画、マスタープランの策定が迫っております。それに沿って森林経営計画が策定されますが、国が示す新たな改定要領のもと、現状を踏まえ、どのように取り組まれようとされているのか、お尋ねをいたします。
長崎市の森林整備計画、マスタープラン基本計画の策定の考え方をお示しください。
それに基づき、森林経営計画策定における長崎市の課題はどのようなものがあるのか、またお示しをいただきたい。
次に、国が示す再生プランでは10年後の木材自給率50%を目指すとありますが、本市としての取り組みをお示しください。
平成22年10月1日に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されました。この法律は、木材を利活用することで、地球温暖化の防止、循環型社会の形成、国土保全や水源の涵養等、また山村その他の地域の経済活動に貢献するため、地方公共団体の責務を記載されております。本市の公共施設、学校等への木材の利活用に対してどのように取り組まれようとされておるのか、お示しください。
長崎市の森林組合は、平成14年4月に現在の4市2町の区域が合併いたしまして現在の南部森林組合となり、長崎市では長崎支所として現在22名の陣容で森林業務に当たっておられます。南部森林組合の現状と今後の経営状況、並びに継続して森林の管理、保全が必要であります。また、人材育成をどのようにしようとされているのか、お尋ねをいたします。
私たちは、自然の恵みを受け、日常生活を営んでおりますが、森林の持つ多面的な機能、水源の涵養など、手を差し伸べ、整備をしておかなければ、山は荒れ、機能低下を招きます。本市を取り巻く山々は、一見、緑深く茂っているように見えますが、適切な管理を継続しなければ、保水能力は落ち、山の健全性は薄れてまいります。本市の森林保全と水源涵養の視点で新たな基金創設ができないか、お尋ねをいたします。
次に、農業振興であります。6次産業への取り組みと支援について。
平成20年に農商工等連携促進法が制定をされました。農業と商工関係者のコラボレーションが図られましたが、現場では商工側のリードが多くて農業側にメリットが少ないのではないかとの意見から、平成23年から農業、漁業関係者の6次産業化法が制定され、地域資源の活用や農業者の6次産業化への支援がスタートいたしました。6次産業とは、1次産業、農業生産、2次産業、加工、そして3次産業、販売を組み合わせた6次産業と呼ばれております。長崎市の農業振興の課題、今回打ち出されました6次産業に関して、どのように誘導、支援をされようとしているのか、お尋ねをいたします。
3点目、JR九州の戦略に学ぶ取り組み。
九州新幹線鹿児島ルートが3月12日に開通しました。東日本大震災が前日にありまして、記念式典もすべて行わずに新幹線がスタートしたと、先日、特別講座の中でJR九州の唐池社長が話をされておりました。しかし、ここ半年で新幹線効果と地元発信の宣伝効果で飛躍的な集客の伸びを示しております。JR九州の戦略やコンセプトへの取り組みは大いに学ぶ点があるのではないかと考えますので、以下、質問いたします。
JR九州が民営化されて24年間、鉄道事業はずっと赤字だったということがありました。関連事業への取り組みや鹿児島新幹線開通を前後して、南九州のローカル線の8種類がユニークな運行を行っております。普通の列車を次々に改造し、観光客が、人が乗りたいと思うように魅力を発信しています。先日も、熊本駅から三角駅間まで「A列車で行こう」という斬新的な発想とネーミングで運行を開始しております。鹿児島中央と指宿間を走る「指宿のたまて箱」、通称「いぶたま」は、指宿の龍宮伝説からヒントを得てネーミングされ、指宿に着いたら、列車をおりるときにゲートがあくと白い蒸気が出て浦島太郎伝説が体験できるなど、旅の楽しさを一段と引き立てております。その結果、11月現在では指宿観光の宿泊者数は前年対比170%以上のお客さんが宿泊されていると市観光課の話でありました。本市は2月以降、上海-長崎間に定期観光船が就航し、3月からは週2便の定期便が予定をされております。長崎市もJR九州の戦略に学び、新たなコンセプトやストーリーを持たせて、観光戦略など商品企画を行い、旅行関係者、またJR九州との民間協力等で工夫を重ねる取り組みが必要と考えますが、見解を求めます。
以上、本壇からの質問とし、4項目めの介護保険事業につきましては自席からの質問といたします。
また、ご回答によりましては再質問を自席から行いたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。=(降壇)=
36 ◯議長(中村照夫君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
37 ◯市長(田上富久君) 公明党、麻生 隆議員の質問にお答えします。
まず、1点目の森林・林業施策についての(1)長崎市森林整備計画の考え方についてお答えします。
森林は、木材生産のほか、水資源の確保、大気の浄化、土砂流出防止など、多大な公益的機能を持っております。しかしながら、林業を取り巻く情勢は、木材価格の低迷、林業生産経費の高騰による経営意欲の減退、林業従事者の高齢化、後継者不足などにより厳しい状況にあるため、維持管理が行われていない森林が増加し、森林の機能低下が懸念をされています。
このような中で、平成23年の森林法改正により、森林整備計画や森林経営計画などの森林計画制度の見直しが行われております。ご質問の森林整備計画は、市町村が5年ごとに策定する10年間を計画期間とするものであり、森林所有者が行う伐採や造林などの森林施業に関する指針などを定めるもので、適切な森林整備を目的としたマスタープランとなるものです。また、平成24年度から新たな森林整備計画がスタートすることから、長崎市でも現在、平成23年度中の策定に向けて作業を進めております。
この計画では、森林の持つ多様な機能を勘案し、水源涵養機能、山地災害防止と土壌保全機能、保健機能、木材等生産機能などの新たな6つのゾーニングを設定した上で、森林の伐採基準及び適用範囲の明示、路網計画の図面化、森林経営計画の認定基準などを定めることになります。さらに、間伐などの整備が必要な森林の所在地リストを作成するとともに、その所有者に対してその旨を通知することや間伐などを催促する勧告を行うなど、森林所有者の責務を明確化する内容も含める必要があります。
一方、長崎市の森林は、急峻な地形ややせた土壌及び造林地が小規模で点在していることから、国が進めているもうかる林業の実現は難しいと思いますが、国土の保全などの観点から適正な森林管理を進める必要があります。したがいまして、新しい森林整備計画の策定に当たっては、改正の趣旨に十分留意するとともに、長崎市の森林の実情を踏まえ、林業関係団体と調整を図りながら、森林が持つ多様な機能が発揮できるよう計画の策定に努めてまいります。
次に、2点目の農業振興についての(1)6次産業への取り組みと支援についてお答えします。
6次産業は、農林漁業者が生産、加工、流通、販売を一体化し、所得を増大するとともに、2次、3次産業と連携して地域ビジネスの展開や新たな産業を創出することによって、もうかる農林水産業を実現し、農山漁村の雇用の確保と所得の向上を目指すものです。
ことし3月には、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律、いわゆる6次産業化法が制定をされました。長崎市の取り組みとしましては、以前から農業者が付加価値の高い農産加工品の生産施設の整備への支援を行います農産物小規模生産加工施設整備費補助金や、加工の開発研究や研修への支援を行います長崎市農業振興会制度などにより推進をしてまいりました。また、特産品の振興、販路開拓及び販路拡大を図るため、新たな特産品の開発や改良に取り組まれる農業者等に対しまして、長崎市特産品開発事業費補助金による売れる商品づくりの支援など、6次産業の実現に向けたさまざまな取り組みを行っております。
次に、関係機関の取り組みとしましては、ことし7月に九州農政局の委託により長崎県中小企業団体中央会が長崎6次産業化サポートセンターを設置しており、6次産業化プランナーを中心に農林漁業者からの相談対応や現場への派遣などの活動支援を行っております。また、長崎県においても、今年度から6次産業化支援のために各種セミナーの実施、アドバイザーの派遣、商品を磨き上げるブラッシュアップ相談会などを実施しております。
長崎市の農産物の6次産業化の現状につきましては、茂木びわの種入りゼリー、長崎ザボンやゆうこうのポン酢など、農産加工品の開発や販売に取り組んでおります。今後につきましては、議員ご指摘のとおり、さらなる農産加工品の開発や販路の開拓のための支援を進めることが大変重要ですので、関係機関との連携を一層図りながら、6次産業化に向けた支援を積極的に推進していきたいと考えております。
次に、3点目の観光施策についての(1)JR九州の戦略に学ぶ取り組みについてお答えします。
鉄道や航空機等の運輸事業者が持つ輸送能力は、観光客の誘客において重要な位置を占めており、運輸事業者と連携して宣伝や観光客誘致のキャンペーンなどを実施することは大変有効であると考えています。中でもJR九州は、鉄道事業者の強みである大量送客力を持っており、JR長崎駅も通過駅ではなく終着駅であるという観光面での強みを持っています。さらに、JR九州は、九州新幹線鹿児島ルート全線開業効果により関西や中国地方からの送客数が増加しており、先ほどお話がありました「指宿のたまて箱」や「A列車で行こう」のような話題性のある観光列車の運行等の企画力もすぐれており、ストーリー性のある先駆的な戦略を展開している企業と言えます。
これまでの長崎市関連のJR九州による送客の取り組みとしましては、毎年開催していますJR九州ウオーキングや昨年の列車で行く龍馬の旅、ブルートレインを活用したシュガーロードトレインツアーなどを行っているほか、長崎市や佐世保市などのJR大村線の沿線自治体とJR九州とで組織する大村線沿線観光活性化協議会においてホームページを立ち上げ、ツイッターやフェースブックによる情報発信や関西方面への観光宣伝隊の派遣などの事業を連携しながら実施しております。また、長崎市には、軍艦島や亀山社中記念館、稲佐山の夜景などの魅力的な観光資源が豊富にあり、また長崎市の強みとして、長崎らしい魅力をストーリー化し体験するまち歩き観光長崎さるくを実施しておりますが、今後、JR九州の取り組みを参考にさせていただきながら、これらの貴重な資源の情報発信や活用を積極的に行っていくとともに、長崎市だけではなく、長崎県内や九州北部の温泉地などとの広域観光の取り組みにつきましても展開をしていくことで、長崎市への観光客誘致を図っていきたいと考えております。
さらに、長崎-上海航路の就航によります中国人観光客の誘客増加策につきましても、JR九州との連携を視野に入れまして、今後の利便性の向上が図られるよう協議を行っていきたいと考えております。
また、議員ご提案のJR九州を含めた民間等とのプロジェクトチームの編成につきましても、今後、関係機関と十分に協議を行い、推進に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
38 ◯水産農林部長(原田泰光君) ご質問の1点目、森林・林業施策についての(2)森林経営計画策定における本市の課題についてお答えいたします。
森林経営計画は、平成23年の森林法の改正により森林計画制度が変更となり、これまでの森林施業計画にかわる新たな計画として、面的なまとまりを持った集約化や路網整備などを内容とする国の補助事業の前提となる計画となっております。
これまでの国の補助制度では、森林施業を行う意思がある森林所有者すべてが補助を受けることができましたが、新しい制度では面的なまとまりを持って持続的な森林経営を実施する所有者に対する補助へと変更になりました。変更の背景には、これまでの小規模分散型の森林施業では生産性が低く、木材価格も低迷する中、森林所有者の経営意欲は低下していることから、面的なまとまりのある森林を確保することで効率的な施業を実現し、輸入材に対抗できるよう生産性を向上させる考え方によるものであります。
また、新しい補助制度では、森林施業の集約化を促すために、1カ所当たり5ヘクタール以上のまとまった施業面積を有することや5年間の計画期間内に行う施業面積及び間伐量を設定されるなど、厳しい採択基準となっております。このことから、長崎市の課題といたしましては、個人が所有する森林規模が小さいことや所有者が確認できない区域があるなど集約化が困難な状況であり、現在、森林施業をしている区域が補助対象とならなくなる可能性があります。長崎市といたしましては、実際に施業を実施する森林組合など計画策定者と連携を強化しながら、森林所有者との協議や確認などを積極的に行い、施業面積の集約化を進めるよう指導、協力をしてまいりたいと考えております。
次に、(3)10年後の木材自給率50%へ本市としての取り組みについてお答えいたします。
農林水産省におきましては、平成21年12月に森林・林業再生プランを策定、公表しております。これは、木材の安定供給体制を構築し、もうかる林業を実現するためのプランで、その中で現在の木材自給率26%を2020年までに50%以上へと引き上げることを目標としております。本目標を達成するための検討事項といたしましては、1つ目は林業経営・技術の高度化、2つ目は森林資源の活用、3つ目は制度面での改革の3つの事項が取り上げられております。長崎市といたしましては、このプランを受けて、森林整備や木材生産の効率化を図るため、高性能林業機械の導入に対する助成や作業路整備の技術向上に向けた職員育成に努めているところでございます。また、森林資源の活用に向けた取り組みといたしましては、木材利用の拡大に向けて、公共施設などへの地域産材の利用促進を行うための指針づくりを進めているところでございます。
次に、(4)公共施設、学校等への木材の利活用についてお答えいたします。
平成22年10月に、国において国産材の利用拡大のため公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が制定され、長崎県においては平成23年4月に長崎県公共建築物等木材利用促進方針を定めております。木材にはリラックス効果があり、人に優しい心休まる素材であるとともに、その利用を推進することは、森を育て、地球温暖化の防止などにも貢献することから、長崎市においても長崎市公共建築物等木材利用促進方針及び長崎市木材利用行動計画の策定に向けて、現在、庁内に準備会を設置して協議を行っているところでございます。
その内容といたしましては、建築基準法で耐火建築物とすることが求められていない低層の公共建築物について木造化を推進することや、木造化が困難な場合には内装などの木質化を推進すること、木材を原料とした備品などの利用を促進することなどの木材利用に関する指針を定めるとともに、生産、加工、設計、施工業者間での木材の需要と供給に関する情報の共有化など、関係者相互に連携した木材の利活用を推進する取り組みを定めることとしております。作成に当たりましては、関係部局一体となった取り組みとなりますので、十分協議を行いながら作成したいと思います。
なお、長崎市の独自事業として、間伐材の有効活用や地域産材のPRなどを行うため、長崎市有林の間伐材を活用し、角材や板材などの資材を初め、ばんこいすやプランターなどの加工品を学校や自治会等の公共施設などへ提供しており、本年度からは市民からの要望を受けいこいの里において販売を開始するなど、木材の利活用に努めているところでございます。
次に、(5)森林組合の現状と今後の経営・人材育成についてお答えいたします。
まず、森林組合の概要でございますが、森林所有者の経済的地位の向上並びに森林の保全及び森林生産力の増進を図ることを目的として、森林組合法に基づき設立された森林所有者の協同組合でございます。森林の持つ公益的な機能を維持発揮させるため、特に個々の小規模森林所有者の集約化を進める上で、森林整備の担い手である森林組合の果たす役割は重要であると考えております。
森林組合の現状といたしましては、木材の価格の低迷や後継者不足などにより森林整備意欲を減退していることから森林整備の事業量が減少し、さらには森林整備事業の一部に一般競争入札が導入されたことなどにより厳しい経営状況となっております。このような中、森林組合におきましては、昭和40年代をピークに植林されたものが成熟期を迎え、間伐材の搬出を行う林産活動が主体となりつつあることから、高性能林業機械を導入し、生産コストの縮減に努めております。
また、人材育成に関しましては、未整備森林への事業拡大を図るため、林業技師や林業普及指導員などの資格を取得させ、個人有林の森林整備へのアドバイスや支援を的確に行える体制をつくり、さらに高性能林業機械のオペレーター研修にも派遣するなど、技術研修も積極的に行っております。
いずれにいたしましても、森林整備におきまして、森林組合は非常に重要な役割を持っていると思っておりますので、長崎市といたしましてもできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
39 ◯上下水道局長(白石裕一君) ご質問の1点目の森林・林業施策についての(6)水源涵養の視点での新たな基金設立についてお答えをいたします。
森林には、渇水を緩和し、洪水を防止するといった水源涵養機能がございます。この機能を増進するため、他都市におきましては、水源地域における森林整備や交流事業を目的として水源涵養基金を設置しているところもございます。
一方、長崎県におきましては、平成19年度から森林環境の保全等に要する費用に充てるためのながさき森林環境税を創設し、森林整備による水源の保護にも取り組んでおります。長崎市の水道水源につきましても、神浦ダムや小ヶ倉ダム等の水源地域13カ所がながさき水源の森として認定されており、荒廃した森林の整備や台風等による被災森林の復旧整備などが行われております。長崎市に関係する水源の森緊急整備事業では、平成19年度から平成22年度までの4年間で、神浦ダム水源の森や小ヶ倉水源の森など、延べ15件、約149ヘクタールの整備が実施されております。ながさき森林環境税につきましては、課税期間が平成19年度から平成23年度までの5年間となっておりますが、長崎県におきましては今後も継続の必要性を認識されており、現在、県議会等の関係者のご意見をお聞きしながら検討されていると聞き及んでおります。
また、水源涵養基金を設置する場合は、長崎市の水源となっているダムのほとんどが治水機能をあわせ持つ多目的ダムとなっておりますので、費用負担のあり方等を含め、ダム管理者である長崎県との連携が必要であると考えております。
いずれにいたしましても、森林保護などの水源涵養は極めて重要な施策であると認識しておりますが、長期的な視野に立っての計画と相当な財源の確保が必要でございます。上下水道局といたしましては、水源涵養基金を設置した他都市の動向などを十分調査するとともに、ながさき森林環境税につきましては、先ほども申し上げましたように、長崎県では引き続き継続する方向で検討されていることから、水産農林部を初め、関係機関と連携し、水源上流の森林状況を調査し、必要な整備について長崎県へ要望するなど、積極的に取り組んでまいりますので、ご理解をいただきますようよろしくお願いをいたします。
以上でございます。
40 ◯33番(麻生 隆君) いろいろと答弁ありがとうございました。
最初に、順不同でありますけれども、JR九州の戦略について質問したいと思います。
最初に、実は市長が塾長であります長崎伝習所、自分新化講座ということで、唐池社長が来られて講演されました。大変すばらしい講演といいますか、企画、本当に市長のマニフェストからなされた企画と聞いておりますけれども、こういう長崎の視点にない、またアサヒグループホールディングスの相談役の福地さんが監修をされたということで、すばらしい企画だと思っております。まず最初に、この企画に対してお礼を申し上げたいと思っています。また、ぜひ来年度もこういうことで、このすばらしい企画をしていただいて、長崎の改革を含めた皆さんの展開ができればと思っておりますので、その点お伝えしたいと思います。
また、唐池社長、私もこの10月7日に講演を聞いた後、実は10月30日、TBSの朝7時半からですけど、「がっちりマンデー!!」というテレビ番組がありました。そこでJR九州の紹介がありましたけれども、赤字会社を本当に新しいコンセプトといいますか、企画でぐいぐいと引っ張っていかれている。また、鹿児島新幹線を、先ほど申し上げましたけれども、開通に合わせていろいろな企画をされている。そういうチャレンジの力がある、また企画力がある社長でありました。また、話の中では、博多-釜山間のビートルの就航もされたし、また東京に「うまや」という和食屋もなされたと。また、駅前の不動産関係で、今、九州での不動産はナンバーワンだというような話もされておりましたけれども、こういう唐池社長との接点が市長にあられるわけでありますけれども、再度お尋ねしたいのは、ぜひ唐池社長との交流を含めながら長崎のトップマネジメントとして何らかの形がとれるのかどうか、その点1点お尋ねしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
41 ◯市長(田上富久君) 麻生議員の再質問にお答えいたします。
先日の10月7日の自分新化講座の唐池社長のお話は本当に有意義であったと私も思います。その中で、いろんな九州で展開されている中に、非常に知恵がたくさん集まっていて、その中身自体も長崎に参考になることがたくさんあったと思いますけれども、それ以外にも今後、今、新幹線の誘致に全力を挙げておりますけれども、こういったものが長崎に入ってくる形になったときに、1つは駅舎が変わります。それから、新幹線と長崎、あるいはJR長崎が組むことで、よりさまざまな効果が高まっていくという、人を運ぶところに宣伝をしていただいたり商品化をしていただくというのは非常に有効ですし、また先々、もしコンベンション施設ということになりますと、これも輸送というのは非常に大きな要素でして、いずれにしましても、JR九州は長崎市にとりまして非常に重要なパートナーであるというふうに考えております。これにつきましては、今後ともどういった形での連携ができるのか、個々の課題も含めてですけれども、連携をしっかり図れるように、今後ともより深く交流をしていきたいというふうに考えております。
以上です。
42 ◯33番(麻生 隆君) 鹿児島新幹線が本当に盛り上がっておりまして、その勢いを今学びながら、次の上海航路がある中で、当面、新幹線が平成28年と聞いておりますけれども、まだまだ期間があります。そういった意味では、ぜひ負けないような展開をお願いしたいと、これは要望にしておきます。
次に、林業施策についてお尋ねをしたいと思います。
国の林業政策が大きく変わったということは先ほどの部長の答弁も含めてありましたけれども、改めて今回の長崎の林業施策を見るときに、今までは小口で開発ができて伐採もできたと。補助金もついていた。補助金の割合が国、県の関係で68%あるわけでありますけれども、実際、今回の見直しによって、5ヘクタール以上の中で集積を図らなくちゃならない。そうすると、補助メニューが使えるのかということになると、今、森林組合の皆さんがいろいろ図面を見ながら実態の調査をされておりますけれども、長崎の中に5ヘクタール以上、合わせて約292林班があると聞いております。この中で、具体的に5ヘクタールの半分以上の了解をもらってそういう補助金メニューが使えるのは、なかなか数えるぐらいしかないという状況の中で、今後、経営圧迫も十分あるんじゃないかと思っています。
そこで、今、課題となります山林の地籍調査、それがなかなかできていない。それで了解が得られない。また、この了解といいますか、所有者はわかっても、それはおじいちゃんの時代でなかなか境界線がわからないと、そういう状況の中で5ヘクタールの確認がとれない、そういう状況があるわけであります。
ここでお尋ねしたいのは、旧長崎市の山林の地籍調査、今後やる予定があるのかどうか、もしこれがなければどういう対策をとられようとされているのか、お尋ねをしたいと思います。
43 ◯水産農林部長(原田泰光君) 考え方としまして、地籍調査というのは非常に膨大なお金がかかる。また、特にその1つの目的としては、適正な税金をいただくための施策でございまして、これが一番、森林という部分につきましては非常にそのあたりの効果性というのは落ちるところでございまして、優先度は大分落ちるというふうに判断をしております。そのかわり、実際、小規模の森林所有者に対しては、森林組合さんとものすごく関係が深いわけでございまして、森林組合と十分調整をしながら、また長崎市でできる、例えば、所有者の抽出とか、そういうものにつきましてはできる限り協力をしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
44 ◯33番(麻生 隆君) 山林の地籍調査はなかなかお金がかかってできないということを言われておりますけれども、実は国土調査課、山村境界保全事業については、これは国の事業でありまして、調査の負担はないという状況が書かれてあります。ですので、またいろんな状況はあると思いますけれども、ぜひ山村境界保全事業、国で100%実施すると。ただ、この事務事業でありますけれども、地域住民の皆さんの調査、そういう周知徹底についてはお願いをしたいということもありますので、ぜひこれは研究していただいて進めてほしいと思います。
地籍の状況がわからなければ、先ほど申し上げましたように、国の新しい補助メニューは使えないわけですね。そうすると、山に手が入らない。路網も整備できない。そういうことで、長崎を取り巻く森林環境は一段と悪化をするんじゃないかという懸念がされております。
そこで今、新たな森林づくり、そのために基金はできないかという話をさせてもらいましたけれども、今、県が森林環境税として各家庭に500円、県下で3億3,400万円ほど取ってある。しかし、これが平成22年度、長崎の路網整備に使われたお金が約2,000万円ぐらいしかない。長崎、17万世帯あります。約半分でありますから、実際8,000万円近いお金が県のほうに行っているわけでありますけれども、こういった取り組みを県にも申し上げながら、市としてどうするか、先ほど市長が計画を、マスタープランをつくるんだという話がありましたけれども、これもしっかりこういう現状を見据えてつくってもらわないと、本当に森林、水源涵養、また土地の保全、そういったものができないんじゃないかと思っておりますので、県に対する取り組み、また今後のマスタープランに対するお考え方を、もう一度部長、お尋ねしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
45 ◯水産農林部長(原田泰光君) 再質問にお答えいたします。
まず、補助事業が受けられなくなる可能性があるという部分でございますが、この件につきましては、ほとんどが小規模な森林所有者が主になるというふうに思われます。しかしながら、今まで以上に一生懸命集約化に向けて森林組合と計画策定者と一緒になってまとめていくと、努力をしていくということと、それからもう1つが、国のほうで今現在、別の補助メニューも検討をしている状況でございまして、またながさき森林環境税の活用も含めて、県と一緒になって国のほうに働きかけたいというふうに思っております。
それから、ながさき森林環境税につきましては、一番大きな問題が、やっぱり森林所有者の確認というのが非常に長崎市の場合は、特に水源の森というところは整備事業があるわけでございますが、その部分が森林所有者の確認が非常に難しくて他都市よりもおくれているという状況でございます。したがいまして、できる限り長崎市が協力をしながら所有者の確認をしていくと。そして、森林環境税をできる限り活用できるような状態にしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
46 ◯33番(麻生 隆君) ぜひ県との協議を進めていただいて、計画に盛り込んでいただきたいと思います。
また、経営計画について、今なかなか長崎市の木材状況、これは大きな製材所がなくて、実は全部伊万里の市場に輸送で出されているということでありまして、今後の自給率を50%にする、また公共事業に、また建物に使うということでも、なかなか市場にそういう市内の木材の加工したものが出ていない。そうなると、本当に法律で公共事業で使いなさい、森林計画の中で公共事業をつくりなさいという形であっても、実際コストが合わない、また物がない、またそういう設計に網羅できない、そういう矛盾点があるわけであります。だから、ぜひこれについては県にも働きかけていただいて、どう新しい市場をつくっていくのか、新しいマネジメントをどうするかということも今からは大事ではないかと思っています。今まで全部伊万里に行っているわけでありますから、これを新しい改革で、県下で新しい市場をつくるとか、製材所をつくってまた利活用するとか、そういうのがないとなかなか川上から川中、川下の状況ができないんじゃないかと思っておりますので、ぜひご検討いただきたいと思います。